Review building fraxinus from KP3S

はじめに

年末ですね,いかがお過ごしですか?私は年越しそばを食べ終えてブログを書いています. Fraxinusのdiscordサーバで「年内にはFraxinusの記事でブログ1つ書きます!」と宣言してしまったので,年が明けるまでには気合でpushしたいところ. さっそくKP3Sを魔改造して生み出されたOSS自作3DプリンタのFraxinusを作ってみた内容をまとめていこうと思います.本記事はレビューも兼ねています!

Fraxinus is なに?

FraxinusはOSHの3Dプリンタで,コンパクトな筐体と実用的十分な印刷スペース,CoreCYによる高速印刷が特徴です. 公式サイトからお借りした扉絵がこちら.これに追加でエンクロージャを取り付けることもできます.よさみ.

このFraxinusは界隈で話題の高コスパ3DプリンタKingroon KP3Sをベースに魔改造を施すことでお手軽に作れます.原型とどめてないのでベースと呼んでいいのか悩ましみですが! つまりこういうこと.うーんこれは魔改造…でもこれで性能ぶち上がります.ロマンですね.

作ってみた記録

それでは早速制作記録です.

部品の調達

まずは部品の調達です.ベース機のKP3Sは元々我が家で稼働していた子を使うとして,その他の追加部品たちを購入していきます. ベータのdiscordサーバでBOMを共有して頂き,それをベースにひたすらぽちりました.基本的に,

  • アルミフレーム・ネジ類:MiSUMi
  • リニアガイドレール:AliExpress
  • 細かな部品:モノタロウ
  • 工具類:Amazon

で揃えました.

まさかこのアルミフレームの束を家で見ることになろうとは…1回やると心理的なハードルはがっと下がるもので,2回目は何の躊躇いもなく買えそうな気がします.

KP3Sを抜いた追加部品たちは合計2万円くらいで済んだと思います.僕は予備も含めて気持ち多めに買っておきたい派なので,必要数だけ厳選したら多少安くなるかもしれません.

加工

部品たちが届いたら穴あけの加工をしていきます.長さはそのまま使えるものを購入しているので,ボール盤で穴あけ+タッピングを施せばOKです. OKですと言ってもご家庭にあるボール盤はかなり非力なので,気を使いながらの加工になり地味に大変でした.環境的にちゃんとしたボール盤が利用できる場合はそちら推奨ですね.

家のデスクでアルミの切子が出ると掃除が鬼めんどくさいです.切削油の汚れは無水エタノールで拭きました.

これはデスクでタッピングしている様子.万力がない(ダイソーで買ってみたけど吸盤が使い物にならなかった)ので,左手の握力だけで抑えます.超疲れました.

あまりに疲れるので,大崎のBRIDE TERMINALで行われた組み立て会にお邪魔したときに工具をお借りしてタッピングもしてました.よく切れる刃物と万力は偉大!

穴あけ&ねじ切りが終わったフレームたち.このマステはそれぞれ部品番号が振ってあるので超重要です.

部品の印刷

3Dプリンタを作るためには,3Dプリンタで各種部品を印刷してしまうのが手っ取り早いです.Fraxinusもその例に漏れず,フレームとリニアレールの間の締結用部品や,ホットエンドのマウント,ステッピングモータのマウント等を印刷していきます. 一応耐熱性もそれなりに持たせたいので,Polymaker製のPolyLite ASAを採用しました.福袋でゲットしたは良いものの,(別にASAじゃなくても良いしな… )と放置していたのでここで消費する作戦.

これはリニアレールを乗せる部品(のラフト面)きれいに収まってますね.

こっちはメインボードを固定する部品とM4ナット用のスペーサ. 印刷にはCreality社のSermoon V1 Proを使っています.クラファンの30%オフでお迎えして以来,ASA専用として安定稼働してくれています.

ステッピングモータのマウントとかプーリ固定の部品とか.

こっちはベータテスタのサーバで共有していただいてたナット用スペーサ.位置を多少ずらして調整のために,歪められるようTPUで印刷しています. PolyFlex TPU95-HF製です.

ラストこれは部品ではなく組み立て用の治具です.フレーム間の直角を出したりするのに使います.他にもボルトをぶった切るときの長さ合わせ用(左下)とか,ヒートベッドのベースプレート切断用(右下)とかあります.ちなみにPolyterra PLA製.余ってたので.

KP3S分解

素体であるKP3Sくんを分解していきます.設計上は可逆なので,FraxinusからKP3Sに組み戻すことも可能だそうですが,それでも1台まるごと全バラは中々気合がいりますね. KP3SでFraxinusの部品を作っている場合は,分解前に全ての印刷部品が揃っているか確認しておかないと大変なことに…

分解した様子.メインボード,ステッピングモータ,ベッドベース,ヒートベッド,配線材あたりはまるごと流用します. 一部のフレームやKP3Sの筐体は出番ナシです.

組み立て

本体フレーム

さあ,役者が揃ったので組み立てていきましょう. まずはアルミフレームにスペーサとナットを詰めていって…

締結.ちゃんと組み上がるかドキドキです.

スペーサ使わずとりあえずでナット入れておく箇所もあります.

とりあえずフレームが組み上がるとこんな感じ.中身まだ何も入れてませんが,形になってくるとテンションあがりますね.

リニアレールと底面パネル

続いてCoreXYのリニアレールを組み付けて,X方向のフレームも追加します. この状態で傾け過ぎると,リニアレールから外れてXのフレームが吹き飛んでいくので要注意です. たいてい1-2個はリニアレールの中のボールが行方不明になるので復旧が大変…

Z方向のレールを取り付けます.ここにヒートベッドが乗るわけですね. するする動くように平行を確認しながら進めます.

Z送りネジとヒートベッド

Z軸の送りネジを通して,ヒートベッドを乗せます.

ちなみにいただきもののバックラッシナットを入れてます. 良い感じに効いてる…気がします.

XYモータとベルト

XYのモータを取り付けてベルトを張ります.CoreXYを感じられますね. ここでベルトのテンションも調整しておきます.緩いとまともに動きませんし,ピンと張りすぎても多分よくないので良い感じにします. 「CoreXY ベルト 調整」で調べるとたくさん出てくるのでここでは割愛します.

ここまできたらメカ系はほぼ完成!組み立ても終盤です.

エクストルーダとホットエンド

残る主要な部品はエクストルーダとホットエンド.樹脂を溶かして押し出す部分ですね. さくさく取り付けていきましょう.

オブジェクト冷却ファンとダクト,ホットエンド冷却用のファンもここで取り付けます. ワンタッチでパチっとくっつく素敵設計,良きですね.

電装系とスカート

ラスト!メインボードを底面に固定して配線をきれいに束ねます. 見えない箇所ではありますが,3Dプリンタは可動部分があるのでそれなりに気を使わないとちぎれま千切れます.要注意. ちなみに本来は安定化電源のユニットもここで固定しますが,うちの子は外付けのACアダプタを使うのでスキップです.

スカートは底面の基板たちを目隠し用の部品です.なくても印刷には支障ありませんが,見た目がグッとかっこよくなります. Polyterra PLAの白で印刷.

完成!!

はい!完成!!公式サイトの扉絵は黒基調でしたが,うちの子は真っ白エディションで仕上げました. 中々可愛く仕上がったのではないでしょうか??これならどこのご家庭のリビングに置いてあっても違和感ありませんね.

テスト印刷

テスト印刷の様子です.ゴールドシルクのPLAYで20mm角キューブを印刷しています.

完成品はこちら.きれいにできましたね! このテストはチューニング前なのでゆっくりですが,現在は100m/s, 3000m/s^2くらいのスピードで運用できています.

感想

初めての自作3Dプリンタでしたが,無事完走できてよかったです.途中サボり期間を挟んでしまったので長めにかかってしまいましたが,製作自体はそこまで難しくもなく良い体験でした. 現在の我が家の主戦力3Dプリンタとしてガンガン印刷してくれていますが,この後もちまちまメンテとアップグレードしていきたいですね.

おわりに

ギリギリ年内に投稿できました!有言実行!!期日遵守!耐えました!! Fraxinusが完全オープンソースになったら是非皆様もチャレンジしてみてくださいね. それでは良いお年を!